コラム
マンションの排水管清掃とは?かかる費用の目安と頻度・流れ

マンションの排水管清掃を怠ると、水漏れや悪臭、配管の破損といったトラブルが発生するおそれがあります。
「排水の流れが悪い」「共用部から臭いがする」と感じた場合は、配管内部の汚れを疑いましょう。適切に対応しない場合、入居者からクレームが寄せられる可能性もあります。
そこで本記事では、マンションの排水管清掃の概要や必要性、費用の目安、清掃を行う際のポイントなどをわかりやすく解説します。この記事ではトラブルを防ぐための適切なメンテナンス方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
マンションの排水管清掃とは

マンションの排水管清掃とは、建物に張り巡らされている排水経路内の汚れやゴミなどを除去し、清潔な状態にすることをいいます。
定期的な排水管清掃によって建物全体の排水機能を維持しやすくなるため、マンションオーナーは適切な時期に実施することが重要です。
排水管には台所や浴室、洗面所、洗濯機など、生活に関わる多くの配管があります。放置するとヘドロ状の汚れが蓄積し、簡単には落とせなくなるため、定期的な排水管掃除を行いましょう。
関連記事:マンション排水管清掃のトラブルを防ぐ!前兆から解決策まで解説
マンションで排水管清掃が必要な理由

マンションの排水管清掃には手間とコストがかかります。しかし、それでも定期的に清掃を行うことが重要です。これには、以下の4つの理由があります。
悪臭や害虫の発生を防ぐため
排水管内部を流れるのは、単なる水だけではありません。生活排水には油脂や食べかす、髪の毛などが含まれており、蓄積すると雑菌が繁殖し、においの原因になります。
マンションでは、各住戸の排水管が共用部分で合流するため、一部の排水管が詰まると、マンション全体に影響を及ぼすこともあります。詰まりが進行すると、汚水が外に漏れ出し、悪臭の原因となり、近隣住民に影響を及ぼす可能性があるため、十分注意が必要です。
また、排水管内の汚れは害虫の発生とも関係しています。ゴキブリやハエといった害虫は湿った場所を好むため、清掃を怠ると一気に繁殖するおそれがあります。
発生した害虫が配管を通じて各部屋に侵入する場合もあり、衛生環境や居住者の満足度に影響するおそれがあります。害虫の発生を防ぐためにも排水管清掃が欠かせません。
逆流や水漏れを防ぐため
排水管内に蓄積した汚れは、少しずつ水の通り道を狭くしていきます。すると、リスクが高まるのが、逆流や水漏れです。
排水口が正常に機能しなくなるだけでなく、逆流によって不衛生な状態になることもあります。
状況によっては洗面台や浴室から汚水があふれ、床や壁が汚れることもあるでしょう。
漏水被害が大きくなれば下階への水漏れが発生し、さらに被害が広範囲に及ぶ可能性もあります。
このようなリスクを避けるためには、定期的に高圧洗浄などを行い本格的な清掃を実施することが重要です。
配管の劣化を防ぐため
汚れが蓄積した状態で排水管を放置すると、汚れが酸化し、配管が腐食する原因になる場合があります。劣化状況によっては修理が必要になりますが、マンションの配管は複雑に入り組んでいるケースが多く、修理のために、数日間排水口が利用できなくなることもあります。
入居者にとっては非常に不便な状態になるといえるでしょう。
劣化した配管は水の流れが悪くなるだけではなく、排水音が大きくなるなどの症状が現れることもあります。快適に水を流せなくなると、生活上のストレスにつながる場合もあるでしょう。
排水管の劣化による不具合が起きてから対処するのではなく、定期的なメンテナンスを検討しましょう。
法律で推奨されているため
排水管清掃自体が法律で義務付けられているわけではありません。ただし、建物の排水設備や汚水槽などの管理については、建築基準法などで一定の点検や報告が求められる場合があります。
特に建築基準法第12条では、建築物の安全性や衛生面を維持するため、汚水槽や排水設備などの状態について有資格者が定期調査を行い、報告することが求められています(※)。
そのため、法的な義務は明確ではないものの、衛生環境や管理責任の観点から、排水管清掃は定期的に実施することが望まれます。共用部分の清掃を怠り、悪臭や漏水などのトラブルが発生した場合、管理者や管理組合の責任を問われる可能性があります。
関連記事:マンションの排水管清掃はどのくらいの頻度で行う?費用・方法を確認
(※)参考: e-GOV法令検索:建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)
マンションで排水管清掃を行う際の費用相場

定期的に排水管清掃を行ったほうがよいと分かっていても、費用について心配されている方もいるでしょう。マンションの規模によって費用は異なりますが、目安は以下の通りです。
【排水管清掃にかかる費用の目安】
- 戸数30戸以下の小規模マンション:約3,500~4,500円/戸
- 50戸以下の中規模マンション:約3,200~4,000円/戸
- 100戸以上の大規模マンション:約3,000~3,200円/戸
なお、上記金額は建物全体の費用ではなく、1戸あたりの費用である点に注意しましょう。一般的に依頼する部屋数が増えれば1戸あたりの金額は安くなっていきます。
費用を確認する際は基本料金だけではなく、出張費や時間帯による割増料金、特殊な工程・作業が必要となった場合の追加費用なども確認しておきましょう。汚れが蓄積し、高圧洗浄では対応が難しい場合、大掛かりな清掃が必要となることもあります。
排水管が傷んでいる場合、高圧洗浄機が使用できないこともあり、排水管の交換が必要になる可能性も考えておかなければなりません。
依頼する業者によって費用は異なるため、複数社から見積もりを取得し比較することが大切です。
関連記事:排水管清掃の費用相場は?料金が高くなる理由と抑えるコツ
マンションの排水管清掃で費用を負担する対象
マンションの排水管清掃にかかる費用を誰が負担するのかについてもよく確認しておきましょう。
ここでは、清掃費用が管理会社・管理組合の負担となるケースと、入居者の自己負担となるケースについて解説します。
管理会社・管理組合
基本的に排水管を清掃する場合、費用を負担する対象は管理会社または管理組合です。これは、マンションの資産価値を守るための清掃でもあり、その責任があるのは管理会社・管理組合であるためです。
排水管の清掃を怠ると、マンション全体の排水トラブルにつながる可能性があります。管理会社が責任をもって定期点検・清掃を実施することが求められます。
費用は清掃時に入居者から別途徴収するのではなく、毎月の管理費や修繕積立金から充当します。
自己負担
多くの場合、排水管清掃にかかる費用は管理会社や管理組合が支払いますが、状況によっては入居者個人が負担することもあります。
排水管洗浄が必要となった原因が入居者側にある場合が該当します。たとえば、誤って排水口に物を落としたり、本来流すべきではない物を流したりした場合などです。主に適切でない使い方によって排水管洗浄が必要になった場合は、入居者の自己負担になる可能性が高いです。
このようなケースでは個別に業者に依頼して清掃する必要があります。
また、入居者が気になる点を自己判断で業者に依頼し、定期清掃とは別のタイミングで排水管清掃を行う場合も、費用は自己負担となります。
マンションで排水管清掃を行う頻度
マンションの排水管洗浄の頻度については、法律で明確な決まりはありません。そのため、建物の状況などを踏まえて適切な頻度を自主的に判断し、実施する必要があります。
一般的には、築年数が浅い建物であれば、2~3年に1度を目安に清掃を行うケースが多いです。しかし、築10年以上の建物では、1~2年に1回程度の排水管清掃が目安となります。
どの程度の頻度で行うのが理想的かは建物によっても変わり、建物の利用状況や排水設備の種類によっては、3〜4か月に1回程度の清掃が必要になる場合もあります。そのため、状況に応じて清掃の頻度を検討することが大切です。
マンションの排水管清掃を行う流れ
マンションの排水管清掃はどのような流れで行うことになるのでしょうか。清掃前に行う準備から清掃当日までの流れについて解説します。
関連記事:マンションの排水管清掃とは?かかる費用の目安と頻度・流れ
清掃前
オーナーや管理会社が清掃業者に依頼をしたら詳しいスケジュールを決めていくことになります。見積もりを取得し、複数社を比較しましょう。
依頼する会社が決まったら日程を確定し、入居者に対して案内を行うことになります。
各住戸にチラシをポスティングするほか、掲示板への掲載も行いましょう。当日は入居者の立ち会いが求められるので、スケジュールを調整してもらう必要があります。
排水管の周囲で作業する必要があることもあるため、周辺に物を置いている場合は事前に整理しておくよう案内しておきましょう。
清掃当日
清掃当日の流れについては、依頼する業者に事前に確認しておきましょう。
基本的には、作業当日に業者が各部屋の壁や床を保護したうえで、排水管に洗浄ホースを差し込み、高圧洗浄機を使って洗浄を行います。
マンション全体の排水管清掃を行う場合は、通常、下の階から上の階に順番に作業を進めます。
作業が終了したら、点検結果報告などを受けて完了です。
各住戸を対象とする排水管洗浄では、室内作業が必要となるため、入居者の立ち会いをお願いするのが一般的です。
オーナーや管理会社が代わりに立ち会うこともできますが、あとから「置いていたはずのものがなくなった」「なかったはずの汚れがついている」などと言われてしまう可能性も考えておきましょう。
このようなトラブルのリスクを考慮すると、可能な限り入居者に立ち会ってもらうことが望ましいです。作業時間を事前に伝え、余裕をもってスケジュールを案内することで、入居者も予定を調整しやすくなります。
マンションの排水管清掃で用いられる方法
マンションの排水管清掃では、どのような方法がとられるのかについても確認しておきましょう。代表的なのは高圧洗浄、ムース洗浄、ワイヤー式洗浄の3種類です。
高圧洗浄
高圧洗浄は、排水管清掃の方法の中でも広く採用されています。専用の高圧ホースを排水口から挿入し、強力な水圧を利用して排水管の内部に付着した汚れやゴミを一気に洗い流す方法です。通常の掃除では届きにくい場所の汚れも除去できるため、詰まりや悪臭の改善に効果を発揮します。
配管の奥深くまで洗浄できるほか、配管の曲がり部分などに付着した汚れも取り除ける点が特徴です。一方で、配管の劣化が進んでいる場合は水圧の負荷が大きく、排水管が破損するおそれがあります。
そのため、すべてのケースに適している方法とはいえません。
あらかじめ清掃業者が状態を確認してから適した方法を実施する形となります。
ムース洗浄
ムース洗浄とは、ムース状にした薬剤を使って排水管を清掃する方法です。薬剤の力で汚れを分解する方法であり、高圧水は利用しないことから劣化している配管部分にも活用しやすいでしょう。
また、高圧洗浄だと細く曲がりくねった配管では洗浄残りが発生してしまうことがありますが、ムース洗浄の場合は複雑な配管であっても細かな汚れや油膜を取り除けるのが特徴です。
ただし、圧力をかけない方法であるため、長期間にわたり汚れがたまっている場合や固着した汚れには十分な効果が得られないことがあります。このことから、築年数が浅いマンションや、定期的に配管清掃を行っているマンションに適した方法です。
ワイヤー式洗浄
ワイヤー式洗浄は、細いワイヤーを配管に挿入し、手動または電動で回転させて汚れをかき出す方法です。ムース洗浄と同様に高圧洗浄機のような圧力をかけないことから、老朽化した配管でも選択できる可能性のある方法といえるでしょう。
ワイヤーは配管に沿って曲がりやすいものを使用しますが、複雑な形をしている配管や汚れがひどい場合は落としきれないことがあるのはデメリットです。
マンションの排水管清掃におけるポイント
排水管清掃をスムーズに行うためにもどのようなポイントがあるのか確認しておきましょう。
特に各住戸の配管清掃を行う場合は、入居者にも協力を求めることになります。協力をお願いするにあたりオーナーが確認しておきたいポイントを解説します。
排水口の周辺を整理する
排水管清掃の当日は排水管に清掃ホースを差し込むなどして作業をすることになりますが、排水口周辺が乱雑な状態だと作業しにくくなります。作業をする場合は、排水口の周囲にあるものを移動しながら行う必要があるため、作業時間が長くなる場合があります。
そのため、排水口の周辺を整理しておくよう、事前に案内しておきましょう。
事前に排水口を掃除しておく
排水口は、事前に掃除しておくよう案内しておきましょう。これは清掃効果を高めるうえでも大切な準備です。
普段から定期的に掃除している場合は、当日の朝に簡単な掃除をするだけで済みます。
一方、そうでない場合は掃除に時間がかかる可能性があります。排水管清掃のお知らせは早めに行うことが望まれます。
洗濯機と防水パンの隙間を空ける
洗濯機の下には、一般的に「防水パン」と呼ばれる皿状の台があります。水漏れや結露水を受け止めて排水する役割をもった台です。
洗濯機の排水口は防水パンの奥に設置されていることもあり、清掃作業を行う際は洗濯機と防水パンの間の隙間を通して高圧洗浄機のホースを入れることになります。
洗濯機と防水パンの間に隙間がない場合は、事前に洗濯機を移動してスペースを確保しておくよう案内します。重くて動かせない場合などは、事前に管理会社や管理組合、業者へ連絡し、そのままで問題ないか確認しておくと安心です。
また、作業がしやすいように周囲のものも整理しておくことが大切です。
予定を空けておく
住民には、清掃日当日は予定を調整し在宅していただくよう案内しましょう。なお、作業開始後は長くても約1時間程度で終了しますが、戸数が多いマンションでは順番待ちの形となるため、予定がずれ込むこともあります。
また、作業中は水が使用できない場合があります。こうした点も事前に伝えておくとスムーズです。
マンションの排水管清掃は自分でできるのか
費用を抑えたい場合でも、マンションのオーナーが自分で排水管清掃を行うことは推奨されません。
自分で作業を行うことも不可能ではありませんが、万が一配管が損傷したり、水漏れや不具合が発生した場合、その責任は作業を行った本人が負うことになります。表面上は問題なく作業が終わったように見えても、見えない部分に不具合が残ったり、汚れが完全に取り切れていない場合もあります。
結果として、費用を節約する意図よりもトラブルのリスクが大きくなる可能性があります。安心のためにも、専門業者への依頼を検討することを推奨します。
排水トラブルを未然に防ぐためにも定期的な清掃が重要
いかがだったでしょうか。マンションオーナーが確認しておきたい排水管清掃について解説しました。
必要性や費用の目安、清掃時のポイントなどをご確認いただけたのではないでしょうか。
費用面を理由に清掃を先送りにすると、トラブルが発生し、想定以上の費用がかかることもあります。
マンションの排水管清掃をご検討中の場合は、株式会社一善までお気軽にご相談ください。
排水管や貯水槽の清掃業として豊富な実績があり、緊急のトラブルにも対応しています。
この記事の監修者

梅田 一成
株式会社一善/代表取締役
プロフィール
1989年5月5日 牡牛座 AB型
《出身》
埼玉県
《趣味》
旅行・ドライブ(車好き)・お酒・ご飯
《資格》
排水管清掃作業監督者、排水管清掃技士、貯水槽清掃作業監督者、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者
