コラム
マンション排水管が詰まる原因と対処法|押さえておきたい注意点と予防方法

マンションの排水管は、生活排水を集めて流す重要な設備です。しかし、長年の使用や誤った使い方により、詰まりや逆流が発生することがあります。
特にキッチンや浴室など複数箇所で同時に排水が悪くなる場合、共用部分の排水管に問題が生じている可能性が高いです。
本記事では、マンション排水管の仕組みから詰まりの原因、入居者でもできる簡単な対処法について解説します。定期清掃や予防管理のポイントも紹介しているため、参考にして役立ててみましょう。
マンションの排水管の仕組み

排水管の仕組みを理解することで、詰まりや悪臭などのトラブルを防ぐためのポイントが把握できます。まずはマンション特有の排水構造や流れ方を確認しましょう。
専有部分・共用部分
マンションの排水管は「専有部分」と「共用部分」に分かれています。専有部分とは、各部屋の中で使われる排水設備を指し、キッチンやトイレ、洗面台などがこれにあたります。
一方、共用部分は全住戸の排水をまとめる排水立て管(縦管)や排水桝などで、建物全体の排水を担っています。
汚水・雑排水・雨水の流れ方
マンションの排水は主に3種類あります。トイレから流れる「汚水」、キッチンや浴室、洗面所などから出る「雑排水」、そして屋外のベランダや屋上に降った雨を流す「雨水」です。
これらは混ざらないように設計されており、それぞれ異なるルートで排水されます。特に雨水を汚水管に流すと処理施設への負荷が高まり、処理能力が低下する恐れがあるため、雨水専用の排水経路が確保されています。
合流式と分流式
マンションの排水構造は「合流式」と「分流式」に分かれます。合流式は汚水と雑排水を同じ配管で流す方式で、設置コストを抑えられる一方、詰まりや逆流が発生すると複数の箇所に被害が広がりやすいデメリットがあります。
一方、分流式は汚水と雑排水を別々の配管で流す仕組みです。キッチンや浴室などからの排水が独立しているため、トラブル発生時に影響範囲を限定できるのが特徴です。
通気管設備の役割
排水管には「通気管」と呼ばれる設備が設けられています。排水時に管内にこもる空気を逃がし、スムーズに水が流れるようにするためのものです。
通気管がないと排水の勢いによって空気圧が変化し、ゴボゴボという音がしたり、水が逆流することがあります。ストローの口を指で塞ぐと水が流れない原理と同じで、通気管は排水の流れを支える重要な設備です。
排水方式の種類
マンションでは主に「自然排水(重力式)」と「機械排水(強制排水)」の2種類の方式が採用されています。多くのマンションは重力により下方へ水を流す自然排水を採用していますが、地形や勾配の関係で重力だけでは排水できない場合、ポンプを用いた機械排水が必要になります。
機械排水はビルや地下階のある施設で多く見られますが、マンションでも一部採用されているため、仕様を確認しておくことが大切です。
マンションで排水管が詰まる主な原因

マンションの排水管は、構造上は戸建てよりも詰まりにくい仕組みになっています。上階から下階へと縦に排水が流れるため、水の勢いで汚れが押し流されやすいのが特徴です。
しかし、日常的な使い方や経年劣化により、マンションでも詰まりは発生します。ここでは、場所別に代表的な原因を詳しく紹介します。
関連記事:マンションの排水管詰まりの6つの原因と予防のポイントを解説
キッチン
キッチンで排水管が詰まる最大の原因は、油と食材カスの蓄積です。調理後のフライパンや皿に残った油をそのまま流してしまうと、排水管内で冷えて固まり内側にこびりつきます。
すると、排水口の断面が狭くなり、水の流れが悪化していきます。さらに、そこに細かい食材カスや洗剤の泡が混ざることで、ヘドロ状の汚れとなり、つまりを引き起こすのです。
また、爪楊枝やアルミホイルの切れ端などの小さな異物も、意外と多いつまりの原因です。カップラーメンの残り汁やスープにも多くの油が含まれているため、直接シンクに流さず、ペーパーで吸い取ってから処分します。
トイレ
トイレの排水管が詰まる主な原因は、トイレットペーパーや水に溶けない異物の流しすぎです。トイレットペーパーは水溶性ですが、一度に大量に流すと分解しきれずに管内に残ります。
節水タイプのトイレで「小」設定ばかりを使用すると、水量が不足しペーパーが流れきらず、徐々に堆積することがあります。
また、「流せるおしりふき」や「掃除シート」も、実際は水に完全には溶けず、詰まりを起こす原因になります。さらに、誤ってスマートフォンやペンなどの固形物を落とすと、自力での対処は難しいでしょう。
浴室
浴室の詰まりは、髪の毛と石けんカスの組み合わせによって発生します。洗髪時に抜けた髪の毛が排水口に溜まり、そこへシャンプーやリンスの成分が絡みついてヘドロ状の汚れになります。
これが排水トラップに引っかかると水の流れを遮り、悪臭や逆流の原因になるのです。
また、シャンプーの詰め替えキャップやヘアピンなど、小物が誤って流れ込むと、詰まりを悪化させる場合があります。
洗面所
洗面所では石けんカスや整髪料、歯磨き粉などの残りがぬめり汚れとなり、髪の毛やヒゲと絡まって詰まりを起こします。洗面台の排水管はS字にカーブしているため、構造上、汚れが滞留しやすくなっています。
整髪料やクレンジングオイルには油分が含まれており、冷えると固まりやすいのが特徴です。
さらに、キャップやヘアピンなどの小物をうっかり落とすケースも少なくありません。落としたものを無理に割り箸などで取り出そうとすると、かえって奥に押し込んでしまうため注意が必要です。
排水管の老朽化
どんなに正しく使用していても、排水管の老朽化は避けられません。築年数の経ったマンションでは、内部の金属が錆びて「錆コブ」と呼ばれる突起ができることがあります。
これが水の流れを妨げ、ゴミや油カスが引っかかってつまりを引き起こします。
築40年以上の建物では、白ガス管と呼ばれる錆びやすい素材が使われている場合が多く、詰まりのリスクが高まります。放置すると錆の影響で排水の勾配が狂い、逆流を起こします。
関連記事:排水管のメンテナンスが必要な理由とは?業者へ依頼するメリットや注意点を解説
排水管詰まりのサイン
マンションの排水管は、完全に詰まってしまう前にいくつかの前兆が現れます。ここでは、排水管の詰まりを知らせる代表的なサインを解説します。
水の流れが遅くなる・逆流してくる
シンクや洗面台、浴室などで水の流れがいつもより遅く感じたら、排水管の中で汚れが蓄積しているサインです。排水口の奥に油カスや髪の毛、石けんカスなどが固まり、水の通り道を狭めてしまうことで水がスムーズに流れなくなります。
さらに症状が進むと、水を流したときに一時的に水位が上がったり、排水口から汚れた水が逆流してくるケースもあります。これは、配管内部がほぼ塞がっている危険な状態といえます。
キッチンや浴室など複数箇所で同時に流れが悪い場合は、共用部分の排水管に問題がある可能性もあります。
排水口からゴボゴボ音がする
排水中に「ゴボゴボ」「ポコポコ」といった音が聞こえるのは、排水管内に空気がうまく抜けず、気泡が通過しているサインです。管の中で水と空気がせめぎ合う状態になっており、つまりが進行している可能性があります。
排水トラップや通気管が正常に機能していない場合にも見られる現象です。完全に詰まっていなくても、流れが悪くなり始めている予兆として見逃さないよう注意する必要があります。
悪臭が上がる
排水口から下水のような臭いが漂ってきたら、排水トラップの封水がうまく機能していない可能性があります。通常、トラップ内には一定量の水が溜まっており、フタの役割をして下水の臭いを防いでいます。
しかし、排水管が詰まりかけていると水の流れが滞り、封水が吸い取られてしまい悪臭が逆流してくるのです。
また、排水管内部で油や食べカス、髪の毛などが腐敗している場合も、嫌な臭いの原因になります。
関連記事:マンションの排水管清掃とは?かかる費用の目安と頻度・流れ
自分でできるマンション排水管詰まりの対処法と注意点

マンションの排水管詰まりが軽度のものであれば、自分で対処できる場合もあります。ここでは、安全に出来る代表的な対処法と注意点を見ていきましょう。
関連記事:自分で行う排水管の清掃方法7選&実施する際の注意点について
液体パイプクリーナーで汚れを溶かす
液体パイプクリーナーを使用するのが手軽な方法です。強力な洗浄成分が油汚れや髪の毛、石けんカスを化学的に分解し、排水の流れを改善します。使い方は簡単で、排水口に適量を流し入れ、数十分放置したのちに水でしっかり洗い流すだけです。
キッチンや洗面所、浴室など幅広い場所で使用できますが、製品によって成分や濃度が異なるため、必ず使用前にラベルを確認しましょう。長時間放置したり他の薬剤と併用したりすると化学反応が起こるため、注意が必要です。
重曹+クエン酸で汚れを浮かす
重曹とクエン酸を組み合わせた洗浄法は、環境にもやさしいです。重曹のアルカリ性とクエン酸の酸性が反応して発泡し、排水管内の汚れを浮かせて除去します。
手順としては、まず排水口に重曹を振りかけ、15分ほど置いたあとにクエン酸を溶かしたお湯を注ぐだけ。泡が発生し、排水管の汚れや臭いを取り除いてくれます。
薬品を使いたくない場合や、定期的なメンテナンスにも適しています。最後にぬるま湯で流すと、より効果的に汚れを除去できます。
ラバーカップを使う
排水口の奥に空気が詰まっている場合は、ラバーカップ(スッポン)を使った方法がおすすめです。吸引と圧力を繰り返し、詰まりを物理的に押し流します。
使用する際は排水口の周りに水を少し溜め、カップをしっかり密着させるのがコツです。押すときはゆっくり、引くときは一気に引き上げることで空気圧が発生し、詰まりの改善が期待できます。
ワイヤーブラシを使う
液体クリーナーでも取れない頑固な詰まりは、ワイヤーブラシを試してみましょう。先端にブラシが付いたワイヤーを排水管の奥に挿入し、回転させながら汚れをかき出すことで、固まったゴミや髪の毛を取り除きます。
ただし、力を入れすぎると排水管を傷つけるため、ゆっくり丁寧に動かすのがコツ。特に特に古い配管や樹脂製の排水管は、慎重に扱う必要があります。液体パイプクリーナーと併用すればより高い効果を得られます。
やってはいけない対応
詰まりを解消しようとして誤った方法を取るとトラブルを悪化させます。まず、複数の洗剤や薬剤を混ぜるのは絶対に避けてください。化学反応を起こし、有毒ガスが発生する危険性があります。
また、熱湯を直接排水口に流すのもNGです。プラスチック製の排水管は高温で変形し、漏水や破損の原因になります。
業者に依頼する際のポイント
自分での対処で改善しない場合や、詰まりが再発する場合は、専門業者へ依頼する方法が有効です。費用の目安と信頼できる業者選びのポイントを紹介します。
費用の目安
排水管清掃や詰まり除去の費用は、作業内容や建物の規模によって異なります。一般的な料金相場は以下のとおりです。
| 作業内容 | 費用の目安(税込) |
| 洗面所の詰まり除去 | 約2,000〜5,000円(軽作業)約20,000〜35,000円(高圧洗浄) |
| 浴室の詰まり除去 | 約4,000〜6,000円(基本作業)約15,000〜35,000円(トーラー・高圧洗浄) |
| キッチンの詰まり除去 | 約8,000〜11,000円(軽度)約35,000〜45,000円(高圧洗浄) |
| トイレの詰まり除去 | 約5,000〜8,000円(薬剤使用)約15,000〜35,000円(ローポンプ・高圧洗浄) |
| 洗濯機の排水口清掃 | 約8,000〜12,000円(軽作業)約25,000〜60,000円(高圧洗浄) |
| マンション全体の排水管清掃 | 1戸あたり 約2,800〜4,000円 |
上記はあくまで目安であり、建物の構造や配管の長さ、詰まりの場所によって料金は上下します。
信頼できる業者の選び方
排水管清掃業者を選ぶときは「安さ」だけで判断しないことが大切です。極端に安い業者は作業内容が不十分か、後から高額な追加料金を請求してくるケースが多いためです。
まずは、見積もり時に費用の内訳を明確に説明してくれるか確認します。作業の工程や使用機材、追加費用の有無を細かく説明してくれる業者は信頼性が高いといえます。
また、これまでの施工実績や対応エリア、口コミ評価もしっかり確認しましょう。
【オーナー向け】排水管詰まりを防ぐための予防・管理方法
マンションの排水管トラブルは、発生してから対応するよりも、日頃の点検と予防で防ぐのが最も効果的です。ここでは、オーナーが押さえておきたい排水管管理の基本と、再発防止に向けた予防策を解説します。
耐用年数に応じた排水管の交換
排水管は耐用年数があり、素材によって交換の目安が異なります。塩化ビニル管(VP管)なら約20〜25年、鋼管や鋳鉄管であれば15〜20年が一般的な寿命です。
経年劣化が進むと内部にサビやヘドロが蓄積し、排水の通り道が狭くなります。放置すると漏水や逆流を招く恐れがあります。
外観上は問題なくても、管の内部は少しずつ劣化が進んでいるため、築20年以上の物件では定期的な点検と部分的な交換を計画しましょう。
排水桝や浄化槽の定期的な清掃と交換
排水桝(はいすいます)は、屋外の排水管と下水道をつなぐ中継地点です。ここに泥や油脂が堆積すると排水の流れが悪くなり、やがて屋内に逆流します。
年に1〜2回は専門業者に清掃を依頼し、内部の汚れや詰まりを取り除きましょう。
また、下水道が未整備の地域では浄化槽の定期清掃も必要です。浄化槽は年1回以上の清掃が義務付けられており、怠ると悪臭や水質汚染が生じ、法的な罰則の対象になる場合があります。
古い浄化槽は、槽自体の劣化により機能が低下している場合もあるため、定期的な点検と交換を検討してください。
定期的な排水管清掃の実施
効果的な防止策は、年1回以上の定期的な排水管清掃です。マンションでは各戸の排水が共用管に合流するため、1戸の詰まりが全体に影響を及ぼす場合もあります。
業者による高圧洗浄機を使った清掃は、管内の油脂やヘドロを水圧で一気に洗い流し、内部を新品に近い状態へ改善できます。
定期清掃を実施しておけば、詰まりや逆流トラブルを未然に防げるだけでなく、建物全体の資産価値維持にもつながるでしょう。短期的な費用よりも長期的な安心を重視し、予防メンテナンスを意識することが重要です。
入居者に日常の清掃を意識してもらう
オーナーがどれだけ管理体制を整えても、入居者の使用習慣が悪ければ詰まりは繰り返します。そのため、入居時に「排水管を詰まらせないための注意事項」などをまとめた資料を配布する方法も有効です。
キッチンに油をそのまま流さないこと、トイレはティッシュや異物を流さないこと、浴室は髪の毛をこまめに取り除くことなど、具体的なポイントを伝えましょう。
掲示板などでも注意喚起すると住民の意識が高まり、日常的な清掃習慣が定着します。
排水管トラブルを防ぎ快適なマンション管理を実現するために
マンションの排水管は、日々の生活を支える重要なインフラです。詰まりや悪臭といったトラブルを放置すると、入居者の不満や設備の劣化につながります。
定期点検と清掃を徹底し、日頃から予防意識をもつことが重要です。
株式会社一善では、マンションの排水管高圧洗浄や内視鏡調査、汚水槽・雑排水槽の清掃など、給排水設備全般のメンテナンスを専門に行っています。経歴18年以上の技術者が責任をもって施工。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を中心に多数の実績を誇ります。
排水管の詰まりや定期清掃をご検討の際は、お問い合わせを受け付けています。
この記事の監修者

梅田 一成
株式会社一善/代表取締役
プロフィール
1989年5月5日 牡牛座 AB型
《出身》
埼玉県
《趣味》
旅行・ドライブ(車好き)・お酒・ご飯
《資格》
排水管清掃作業監督者、排水管清掃技士、貯水槽清掃作業監督者、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者
