コラム

公開日 2025.09.04 更新日 2025.09.05

マンション排水管清掃のトラブルを防ぐ!前兆から解決策まで解説

マンションの排水管トラブルに頭を悩ませているオーナーや、店舗経営者の方も多いのではないでしょうか?排水管の詰まりや悪臭は、放置すると住民からのクレームや高額な修繕費用につながる深刻な問題です。しかし、どのタイミングで清掃を行い、どの業者に依頼すればよいか判断に迷うことも少なくありません。

 

本記事では、排水管トラブルの前兆から放置した場合のリスク、効果的な解決策まで紹介します。ぜひ最後まで読んで、トラブルを未然に防ぐ知識を身につけてください。

 

目次

マンションの排水管清掃でトラブルが起こる前の前兆

排水管トラブルは突然起こるものではありません。必ず何らかの前兆があり、早期に気づくことで大きな被害を防げます。

 

ここでは、以下5つの前兆について説明します。

 

  • 住民から水の流れや臭いの報告が増える
  • 共用部の排水枡や排水溝で詰まりが見られる
  • 排水口からゴボゴボという異音が聞こえ始める
  • 害虫の目撃情報が特定のフロアに集中する
  • 前回の清掃から3年以上が経過している

 

それぞれ見ていきましょう。

 

住民から水の流れや臭いの報告が増える

排水管に問題が生じると、最初に住民が異変に気づきます。「最近シンクの水はけが悪い」「浴室から下水のような臭いがする」といった報告が複数の住戸から上がり始めたら要注意です。

 

とくに同じ縦配管を使用している上下階の住民から、同様の報告があった場合は深刻な状況といえるでしょう。これは配管内に汚れが蓄積し、排水の流れを妨げている証拠です。住民からの報告を記録し、発生場所や頻度を把握することが大切です。早めの対応により、全面的な配管交換という最悪の事態を回避できます。

 

共用部の排水枡や排水溝で詰まりが見られる

マンションの敷地内にある排水枡や排水溝は、建物全体の排水状況を示すバロメーターです。定期的な点検で水の流れが悪くなっていたり、汚物が溜まっていたりする場合は注意が必要です。

 

とくに雨天時に排水が追いつかず、水があふれる状況は危険信号といえるでしょう。これは内部の配管にも相当な汚れが蓄積している可能性が高いからです。共用部の排水設備は目視で確認できるため、月1回程度の巡回点検をおすすめします。早期発見により、住民の生活に影響が出る前に対処できるはずです。

 

排水口からゴボゴボという異音が聞こえ始める

排水時に「ゴボゴボ」「ポコポコ」といった異音が聞こえるのは、配管内の空気の流れが悪くなっているサインです。正常な排水管では、水と一緒に空気もスムーズに流れるため、このような音は発生しません。

 

異音の原因は、配管内に付着した汚れや異物により、通気が妨げられているためです。放置すると、排水トラップの封水が破られ、下水臭が室内に充満する事態になりかねません。住民から異音の報告があった場合は、速やかに専門業者による調査を実施しましょう。音の発生箇所を特定することで、効率的な清掃計画を立てられます。

 

害虫の目撃情報が特定のフロアに集中する

ゴキブリやチョウバエなどの害虫が、特定のフロアで頻繁に目撃されるようになったら警戒が必要です。これらの害虫は、排水管内の汚れや食べ物カスを餌として繁殖します。とくに夏場は害虫の活動が活発になり、排水管を通じて各住戸に侵入するケースが増加します。

 

1つのフロアで発生した害虫は、配管を通じて建物全体に広がるかもしれません。害虫の目撃情報を集約し、発生源を特定することが効果的です。排水管清掃とあわせて、害虫駆除も実施することで、住民の不安を解消できるでしょう。

 

前回の清掃から3年以上が経過している

排水管清掃の適切な頻度は、建物の築年数や使用状況により異なりますが、一般的に1年に1回が目安とされています。前回の清掃から3年以上経過している場合は、トラブル発生のリスクが急激に高まります。日常的に流される油分や食べ物のカス、毛髪などが配管内に蓄積し、徐々に通水能力が低下していくためです。

 

とくに築10年を超える建物では、配管の劣化も進行しているため注意を要します。清掃履歴を確認し、計画的なメンテナンススケジュールを組むことが大切です。定期的な清掃により、突発的なトラブルを防ぎ、建物の資産価値を維持できます。

 

マンションの排水管清掃のトラブルを放置するとどうなる?

トラブルの前兆に気づきながらも「まだ大丈夫だろう」と対応を先延ばしにすると、問題はより深刻な事態へと発展します。

 

こちらでは、トラブルを放置した場合に起こりうる5つの結末を紹介します。

 

  • 排水管の詰まりが悪化し水回りが使えなくなる
  • 悪臭やカビが発生し住環境が悪化する
  • 害虫や衛生害獣の発生が増える
  • 水漏れによる階下への被害や損害賠償リスクが高まる
  • 長期的な放置で修理・復旧費用が高額になる

 

詳しく見ていきましょう。

 

排水管の詰まりが悪化し水回りが使えなくなる

排水管の汚れを放置すると、詰まりが悪化して日常生活に支障をきたします。最初は水の流れが少し悪い程度でも、徐々に汚れの層が厚くなり、最終的には完全に閉塞してしまいます。そうなると、キッチンや浴室、トイレといった水回りが一切使えなくなるかもしれません。これは、住民の生活に直接的な不便をもたらす深刻な問題です。

 

また、店舗の場合は営業を停止せざるを得なくなり、大きな経済的損失につながります。日常生活や事業活動の基盤を守るためにも、詰まりの悪化は避けなければなりません。

 

悪臭やカビが発生し住環境が悪化する

排水管内部の汚れは、不快な悪臭やカビの発生源となります。配管内に溜まったヘドロや汚泥が腐敗することで、強烈な臭いが発生。その臭いが排水口を通じて室内に逆流し、居住空間の快適性を著しく損ないます。また、排水管の詰まりによって湿気がこもりやすくなると、壁の内部や床下でカビが繁殖する原因にもなります。

 

カビはアレルギーや呼吸器疾患など、住民の健康に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。建物の衛生環境を保ち、住民の健康を守るためにも、排水管の汚れは放置できない問題です。

 

害虫や衛生害獣の発生が増える

排水管のトラブルは、害虫や衛生害獣を建物内に呼び寄せる原因になります。ゴキブリやネズミなどは、暗く湿った不衛生な場所を好みます。汚れが溜まった排水管は、絶好の住処や繁殖場所です。配管の破損箇所や隙間があれば、そこから容易に建物内部へと侵入してきます。一度侵入を許してしまうと、あっという間に数が増えて建物全体に広がる可能性も。

 

害虫や害獣の発生は、住民に強い不快感を与えるだけでなく、衛生上の問題も引き起こします。衛生的な住環境を維持するため、排水管の定期的な管理は欠かせません。

 

水漏れによる階下への被害や損害賠償リスクが高まる

排水管の詰まりや劣化を放置した結果、もっとも深刻なトラブルの1つが水漏れです。排水管が詰まって行き場を失った水は、配管のつなぎ目など弱い部分からあふれ出します。その水が階下の部屋にまで達すると、天井や壁、家財道具などを汚損する大きな被害につながります。

 

この場合、漏水の原因を作ったとして、オーナーや管理組合が階下の住民に対して損害賠償責任を負う可能性も。賠償額は被害の規模によって高額になることも珍しくありません。予期せぬ出費と住民間の信頼関係の悪化を避けるためにも、水漏れのリスクは軽視できません。

 

長期的な放置で修理・復旧費用が高額になる

トラブルへの対応が遅れるほど、最終的に必要となる修理や復旧の費用は高額になります。初期段階の詰まりであれば、比較的手頃な費用で高圧洗浄などの処置が可能です。しかし、問題を長期間放置した結果、配管が完全に閉塞したり、腐食して破損したりすると、大がかりな配管交換工事が必要です。

 

その場合、壁や床を解体する必要も出てくるため、工事費用は数百万円にのぼることも。定期的なメンテナンス費用に比べて、緊急的な大規模修繕の費用は桁違いに高くなります。計画的な維持管理こそが、長期的に見てもっとも経済的な選択といえます。

 

マンションの排水管清掃トラブルを解決する方法

排水管トラブルのリスクを理解したうえで、次に行うべきは具体的な解決策の実行です。

 

ここでは、トラブル解決のために踏むべき4つの手順を見ていきましょう。

 

  • マンションの状況に合った清掃計画を立てる
  • 複数の業者から相見積もりを取り比較検討する
  • 信頼できる専門業者を見極める
  • 住民の理解と協力を得る

 

詳しく解説します。

 

マンションの状況に合った清掃計画を立てる

効果的な排水管清掃は、まず建物に合った計画を立てることから始まります。すべてのマンションが同じ状況ではないため、画一的な計画では十分な効果が得られません。建物の築年数や配管の材質、過去の清掃履歴などを考慮し、最適な清掃頻度や方法を検討する必要があります。

 

たとえば、築年数が浅い物件なら3年に1度、古い物件なら毎年の清掃が推奨されるなど、状況に応じた判断が求められます。管理記録を確認して建物の現状を把握し、長期的な視点で予算やスケジュールを策定しましょう。この計画が、業者選びや住民説明の確かな土台となります。

 

複数の業者から相見積もりを取り比較検討する

最適な業者を選ぶために、相見積もりを取ることで、料金だけでなくサービス内容や技術力、対応の質などを客観的に比較できます。これにより、コストパフォーマンスに優れた業者を選定することが可能です。少なくとも3社程度の専門業者に声をかけ、同じ条件で見積もりを依頼しましょう。

 

提示された見積書では、金額の安さだけでなく、作業内容の詳細や使用機材、損害保険の有無、保証内容まで確認することが大切です。手間を惜しまず比較検討することが、後悔のない業者選びにつながります。

 

信頼できる専門業者を見極める

清掃の品質は、業者の技術力と誠実さに大きく左右されます。そのため、信頼できる専門業者を見極めることが、排水管清掃の重要なポイントです。業者選びの際は、安さだけで判断せず、いくつかの基準で総合的に評価することが大切です。

 

たとえば、マンションでの豊富な清掃実績や具体的な施工事例があるかを確認します。また、有資格者の在籍や損害保険への加入は、信頼性の高い業者の証です。問い合わせ時の対応が丁寧で、専門的な質問にも分かりやすく答えてくれるかどうかも、重要な判断材料になります。

 

住民の理解と協力を得る

マンションの排水管清掃は、住民の協力なしには実施できません。清掃作業では各住戸への入室が必要になるため、事前に丁寧な説明を行い、理解を得ることが不可欠です。高い実施率を達成するためには、誠意あるコミュニケーションが求められます。

 

清掃の必要性や目的、具体的な日時や作業内容と所要時間、そして各戸での事前準備などを記載した、分かりやすい告知文を作成して配布しましょう。掲示板への張り出しはもちろん、場合によっては説明会を開くことも有効です。不在時の対応方法も事前に案内することで、住民の不安を解消できます。

 

専門業者が行う高品質な排水管清掃とは

信頼できる業者選びが重要である一方、オーナー自身も「高品質な清掃」がどのようなものかを知っておく必要があります。以下に、プロの専門業者が行う高品質な清掃の特徴をあげます。

 

  • 高圧洗浄で排水管の汚れを徹底的に除去する
  • 専用カメラで配管内部の状態を隅々まで確認する
  • 作業前後の丁寧な養生で入居者の信頼を得る

 

それぞれ見ていきましょう。

 

高圧洗浄で排水管の汚れを徹底的に除去する

高品質な清掃の基本は、プロ仕様の高圧洗浄機による徹底した洗浄作業です。市販のクリーナーでは落としきれない、配管内部にこびり付いた油汚れを強力な水圧で剥がし取り、根本から除去するのが専門業者の高圧洗浄です。

 

業者は、配管の材質や状態に合わせて水圧を的確に調整する技術を持っています。これにより、配管を傷つけることなく、汚れだけを効率的に洗い流すことが可能です。作業後には、見違えるほど水の流れがスムーズになります。この確実な洗浄効果こそ、プロに依頼する最大のメリットといえます。

 

専用カメラで配管内部の状態を隅々まで確認する

より質の高いサービスを提供する業者は、専用のファイバースコープカメラを使用します。このカメラを配管内部に挿入することで、普段は見えない詰まりや汚れ、破損の状態を正確に把握できます。

 

清掃前にカメラ調査を行えば、問題箇所を特定し、より効果的な洗浄計画を立てることが可能です。また、清掃後に再度カメラで確認することで、汚れが確実に除去できたかを映像でチェックできます。オーナーや住民も、映像で「見える化」された結果を確認できるため、作業への納得感と満足度が格段に向上します。

 

作業前後の丁寧な養生で入居者の信頼を得る

清掃技術そのものと同等に肝心なのが、作業前後の丁寧な対応です。とくに、住民の室内を汚したり傷つけたりしないための「養生」は、業者の品質を判断する大切なポイントです。

 

高品質な業者は、作業場所であるキッチンや洗面所、浴室の床、そして玄関から作業場所までの通路を専用のシートやマットで保護。これにより、機材の搬入時や作業中の水はねなどから室内を守ります。こうした細やかな配慮は、住民に安心感を与え、業者ひいては管理組合への信頼につながります。作業後の清掃や片付けまで徹底する姿勢が重要です。

 

マンションの排水管清掃でよくあるトラブルと解決策

万全の計画を立てても、排水管清掃では予期せぬトラブルが発生することがあります。

 

ここでは、よくある5つのトラブルとその解決策をまとめました。

 

  • 一部の住民が清掃を拒否し計画が進まない
  • 清掃作業時に設備や内装が傷つく
  • 清掃前後にゴキブリなど害虫が発生する
  • 清掃後に臭いや詰まりが再発する
  • 見積もりにない追加料金を請求される

 

それぞれ解説します。

 

一部の住民が清掃を拒否し計画が進まない

清掃を拒否する住民がいる場合、まずはその理由を丁寧にヒアリングすることが第一歩です。体調不良やプライバシーへの懸念、過去のトラブル経験など、さまざまな事情が考えられます。頭ごなしに協力を求めるのではなく、相手の状況に寄り添う姿勢が大切です。そのうえで、清掃を行わない場合のリスクを改めて具体的に説明し、協力を仰ぎます。

 

たとえば、漏水事故が起きた際の損害賠償責任について触れることも有効です。また、業者と連携し、女性スタッフの派遣や作業日時の再調整など、柔軟な代替案を提示することも解決策の1つになります。

 

清掃作業時に設備や内装が傷つく

高圧洗浄機や清掃器具により、シンクや洗面台に傷がつくトラブルは、業者の技術不足が原因です。経験の浅い作業員や、不適切な機材使用により発生することがあります。このようなトラブルを防ぐには、実績豊富な業者の選定が肝要です。

 

作業前の養生確認、過去のトラブル事例などを事前に確認しましょう。また、作業前後の写真撮影により、責任の所在を明確にすることも大切です。万が一、損傷が発生した場合の補償体制も確認が必要になります。迅速な対応と誠実な補償により、住民との信頼関係を維持できるかが、業者選定のポイントといえるでしょう。

 

清掃前後にゴキブリなど害虫が発生する

排水管清掃がきっかけで、一時的に害虫が発生することがあります。これは、配管内に潜んでいた卵や、汚れを餌にしていた害虫が、高圧洗浄の水流に驚いて外に出てくるために起こる現象です。事前にこの可能性を住民に知らせておくだけで、クレームを大幅に減らせます。

 

告知文に「作業後に害虫を見かけることがありますが、一時的なものです」と一文を加えておきましょう。また、業者によっては清掃と同時に害虫駆除サービスを提案できる場合もあります。長期的に害虫が見られる場合は配管の破損も考えられるため、業者に点検を依頼しましょう。

 

清掃後に臭いや詰まりが再発する

清掃直後に臭いや詰まりが再発する場合、いくつかの原因が考えられます。1つは、排水トラップの「封水」が切れているケースです。これは、高圧洗浄の勢いで排水口内部の水がなくなるために起こる現象で、水を流せば自然に直ります。もう1つは、業者の技術不足による汚れの取り残しです。この場合は、作業内容に問題があった可能性が高いといえます。

 

こうした事態を避けるため、業者には作業後の保証があるか事前に確認しておくことが重要です。保証期間内であれば、無償で再調査や再清掃を依頼できます。

 

見積もりにない追加料金を請求される

見積もりの段階でどこまでが標準作業で、どのような場合に追加料金が発生するのかを、書面で明確にしておく必要があります。たとえば「予期せぬ配管の破損が見つかった場合の修理費用」など、具体的なケースを事前に確認しましょう。

 

信頼できる業者は、追加作業が必要になった場合、必ず事前にオーナーへ状況を報告し、許可を得てから作業に着手します。もし、事前の説明なく高額な追加料金を請求された場合は、その場で支払わず契約内容を再確認し、冷静に対応しましょう。

 

まとめ:プロの排水管清掃業者と連携してトラブルを避けよう

マンションの排水管トラブルは、早期発見と適切な対応により、大きな被害を防げます。定期的な清掃と専門業者による点検が、建物の資産価値維持と住民の快適な生活を守る鍵となるでしょう。

 

株式会社一善は給排水の専門家として、経歴18年以上の技術者が責任を持って施工しています。集合住宅の排水管高圧洗浄から排水管内視鏡調査まで、大型物件から小型物件まで幅広い作業実績があります。排水管のトラブルでお困りの際は、ぜひお問い合わせください。

この記事の監修者

監修者の写真

梅田 一成

株式会社一善/代表取締役

プロフィール

1989年5月5日 牡牛座 AB型

《出身》

埼玉県

《趣味》

旅行・ドライブ(車好き)・お酒・ご飯

《資格》

排水管清掃作業監督者、排水管清掃技士、貯水槽清掃作業監督者、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者